Works

はまゆりの頃に 三陸、福島 

2011-2013

2011年4月から2013年5月まで、東日本大震災の被害を受けた東北の沿岸部から内陸の山間部、そして都市部で約1200人もの方々に撮影させてもらいました。はまゆり(スカシユリ)の花の亜種は崖などの沿岸部に咲きますが、内陸でも多数見かけるようになっています。そのゆるやかな広がりも意識しながら撮影しました。

「自宅の2 階に、津波で流された方の遺体が挟まっていました」
被災した方と会話し、撮影したのは、この方が初めてでした。瓦礫を前にしても私はどこかテレビ映像のように感じていましたが、彼女のこの言葉で、目の前の風景が突然、現実となって押し寄せて来ました。
(2011 年4 月15 日 岩手県釡石市大只越町)

「家を片付けています」
(2011年4月16日 岩手県上閉伊郡大槌町本町)

「仕事の合間に見に来ました」
北海道から救援のため派遣されてきたお医者さんです。震災以前に来たことがあった、岩手県立高田病院がガタガタになってしまった姿を見て、呆然とされていました。
(2011 年4 月16 日 岩手県陸前高田市高田町)

ボランティアに来ていた男性です。この日は、公民館で過ごすボランティアの解散式が行われていました。ここは、4 月の時点では、道路が封鎖されていたために訪れることができない地区でした。
(2011 年6 月28 日 宮城県気仙沼市本吉町今朝磯)

約830年前から伝わるという虎舞を踊った方です。毎年行われている虎舞は、漁師が漁から無事帰ってくるよう祈願した舞であると言われています。
(2012 年1 月1 日 岩手県釡石市鵜住居町)

「家に来て休みなさい」
自宅周辺の雪かきをしていた女性です。雪が積もっているので私が寒い思いをしているだろうと、温かい言葉をかけて下さいました。
(2012 年1 月3 日 岩手県遠野市小友町)

ワカメの洗浄は、お湯に浸けて行います。その時、ワカメがとても綺麗な色に変わっていきます。私はその瞬間が何故か好きになり、何度か作業を見せていただきました。
(2012 年4 月13 日 宮城県本吉郡南三陸町歌津)

「オレンジ色がはまゆり、白がやまゆり。あれ?逆か?」
家で鉢植えにするために、花を抜いて来たという男性です。海辺の崖に咲くはまゆりと、山に咲くといわれているやまゆり。両方を一気に持って帰れることを、私は羨ましく思いました。
(2012年7月24日 岩手県大船渡市赤崎蛸ノ浦)

「弁当買ってて、来るのが遅くなりました」
いわき市から福島第一原子力発電所に働きに来ている男性です。現在は作業員の方の送り迎えをするための車を洗って除染する仕事をされているそうです。
(2013 年2 月22 日 福島県双葉郡楢葉町山田岡)

「仮の住まいですが、終の棲家です」
津波によって家が流されてしまった女性です。現在はトレーラーハウスに住んでいらっしゃいますが、今の生活に満足しているそうです。「仮」と「終」が隣り合わせになっている状況に、私は言葉も出ませんでした。
(2013年4月27日 宮城県仙台市若林区二木)